NPO法人への遺贈

 

 映画にもなった鎌倉が舞台の漫画『海街diary』(小学館・吉田秋生著)の第6巻『四月になれば彼女は』46頁に、食堂のおばさんが遺言で遺してくれたお金の受け取りに関して、受贈者の親が、故人の寄付していた「江の島のら猫お助け隊」に寄付した方がマシ、と話すシーンがある。

 「江の島のら猫お助け隊」でなくても、自分が生前関わっていた団体(NPO法人)に、その活動に役立ててもらうために自分の所有する不動産などを遺贈したいという人はいるだろう。たとえば、野良猫を保護して 動物への理解を深める施設をその土地の上に立てて欲しいと願って遺す場合もある。しかし、もらっても困ると断られる場合もあるし、課税が発生する場合もある。

 土地、建物、絵画、株式、著作権などの資産のNPO法人への遺贈におけるみなし譲渡所得税が非課税となるのは、当該NPO法人が社会的存在として認識される程度の事業規模を持ち、公益の増進に寄与することを目的とした法人として適正に事業を遂行し運営も適正に行われており、法令も遵守しているといった一定の要件を満たしていて、かつ寄付者らの税負担を不当に減少させる結果とならずに、その財産が2年以内に公益を目的とする事業に直接使用される場合であって、相続開始の翌日から4か月以内に国税庁長官の承認も必要である(租税特別措置法第40条)。

 寄付者の税負担を不当に減少させる結果にならないという要件は、受贈法人の役員や職員に親族や事実婚者などの特殊な関係がある人がいるかどうかや、定款等に役員の親族や特殊な関係がある人の排除規定があるかどうか(なお、NPO法第21条では、役員の親族の排除につき定められているが、租税特別措置法設置法令第25条の17第6項1号のような特殊な関係がある人の排除についての定めはない)、特別な利益を与えられていないか、定款に解散時の残余財産の帰属先の定めがあるか(NPO法では帰属先については、記載がなければ国又は地方自治体となるので定款必須記載事項ではない(NPO法第11条第3項、第32条))などで判断される。

 公益を目的とする事業に直接使用されるという要件については、直接使用されない株式や著作権などの場合は、配当金や印税収入があることが前提で、全額当該公益目的事業に使われているかどうか、で判断される。

 従って遺贈に際しては、受贈NPO法人がこれらの要件を満たしうる法人かどうかの検討も必要だろう。

 ちなみに、前述の漫画のシーンにように受贈者が、相続した財産を認定NPO法人でないNPO法人に寄付しても、相続税非課税の適用はなく(租税特別措置法第70条)、またそもそも江の島のら猫お助け隊」は、2015年10月5日現在、NPO法人として登録はない。

 

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