EUに残るべきか離脱すべきかのイギリスの国民投票を見て、大学で初めてEUについて学んだ日を思い出した。
今ではEU法の権威であるその先生も、そのころは若く、教室に入られるやいなや黒板に
「Balance of Power」
と大きく書いて、EUについての授業を始められたのだ。
EUの歴史は欧州の戦争の歴史とも結びついている。欧州各国がバランスを取りながら一つの共同体を形成維持していくことで、戦争を回避し、ともに発展しようという理念がEUを支えていると、そのような内容の授業だったと思う。
その日の授業は、当時若かった私に強烈な印象を与え、その後EUのゼミに入り、卒業後はEUに加入準備中であったハンガリーにも渡りEUの発展を間近で体験し、そして今弁護士になっている。
「Balance of Power」
これは、EUだけでなくあらゆる組織でもいえることだと思う。
力が偏ること、均衡を崩すことは、争いの火種を生みやすい。しかし一方で、強力なリーダーシップが必要な場合もあるだろう。均衡をどのように維持するかも簡単なことではない。
今後、欧州がどのように動いていくのか、見守りたい。