プロボノに興味があります!という方からよく聞かれるのが、NPO法人は利益をあげてはいけないのか、という質問です。
NPO法人の「営利を目的としない」という意味は、形式・実質を問わず、利益や財産を団体の構成員に分配しない、ということです。したがって、利益をあげてはいけないということではないのです。
「特定非営利活動に係る事業」に収入があっても問題ありません。
法人の職員に労働の対価たる給料を支払うことも問題ありません(役員報酬については制限があります)。ただし、人件費などの管理費は、利益の内部還元のおそれもあり、全体に対する支出規模は一定以下にすべきと考えられています。
また、収益に関連して次のような制度が設けられています。
① 活動の制限
NPO法人は、不特定多数のためかつ法律で定められた範囲の「特定非営利活動」を主たる目的としなければなりません。収益を目的とした事業が行えるのは、従たる目的の「その他の事業」です。
そして、「その他の事業」を行うには、「特定非営利活動に係る事業」同様、定款に具体的な記載がなければならず、所轄庁の認証さらに登記も必要です。
無制限に「その他の事業」を行えるわけでもありません。「特定非営利活動に係る事業に支障がない限り」行うことができ、また、事業の質・量ともに「従たる」ものであることが原則です。
たとえば、事業の支出規模についても、「その他の事業」の支出規模は、全体の2分の1以下であるべきで、「その他の事業」が、「特定非営利活動に係る事業」を圧迫してはならないということです。
「その他の事業」が赤字の場合も、「特定非営利活動に係る事業」を圧迫することとなり、「支障がない限り」とはいえないと解されています。
質的にも社会的信用を失うような事業は、「支障」を生じさせるものと考えられ、内容も「特定非営利活動に係る事業」の達成に付随的なものであるべきと考えられています。
②会計の分離
「特定非営利活動に係る事業に関する会計」と「その他の事業に関する会計」は、区分しなければなりません。
活動計算書でも分けて記載です。
③収益繰り入れ
「その他の事業」で生じた収益は、「特定非営利活動に係る事業」のために使用しなければなりません。
つまり、「その他の事業」で生じた収益は全額「特定非営利活動に係る事業」に繰り入れをするということです。
「その他の事業」は、「特定非営利活動に係る事業」を支援するためにあるからです。
④事業報告書や活動計算書等の提出
毎事業年度、法律で定められた書類を作成し、事務所に備置き、年に1回毎事業年度の始めの3カ月以内に所轄庁に提出しなければなりません。つまり、法人の活動内容や会計は、所轄庁及び市民の監視下に置かれます。
⑤ 残余財産
解散した法人の残余財産が譲渡できるのは、他のNPO法人など法律で決められた範囲での相手のみです。
「非営利性」は、NPO法人の根幹です。留意しましょう。